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2010年11月16日火曜日

iOS で正規表現を使う (3.0, 3.1, 3.2, 4.0)

iPhone / iPad アプリで正規表現を使いたいときはどうするのか調べてみました。


■iOS 4.0以上

NSRegularExpression があるのでそれを使えば万事解決です。


■iOS 3.2

http://blog.livedoor.jp/pnfhy316/archives/277806.html
こちらのブログでご紹介されているとおり、NSString rangeOfString:options: で NSRegularExpressionSearch を指定するのが楽です。

正規表現のグループ参照はできませんけれど、まぁしょうがないですかね。


■iOS 3.1, 3.0

http://d.hatena.ne.jp/KishikawaKatsumi/20081031/1225463896
こちらのブログでご紹介されているとおり、ライブラリを使うのがよいようです。

または最近調べてわかったのですが、 NSPredicate を以下のように使うと正規表現によるマッチングが可能になる模様です。
NSString *path = @"/path/to/img/img10001.png";
NSPredicate *predicate = [NSPredicate predicateWithFormat:@"%@ matches '.*/img[0-9]{5}\\.png'", path];
BOOL matched = [predicate evaluateWithObject:nil];
キモは NSPredicate の format として matches という構文が使えることと、その中で正規表現が使用できるところですかね。実機の iOS 3.X で試したわけではないのですが、 NSPredicate 自体が iOS3.0 から使用可能になっていることと、 NSPredicate format 関連のドキュメントを見ても特に利用制限とかは書いていなかったので、普通に3.0から使えるんじゃないかと思ってます。もしよろしければ動作報告いただけるとうれしいです。


■iOS 2.X

iOS界のIEだと思って忘れましょう。お客さんに「頼むから対応してくれ」と言われても突っぱねる(すでに全体の1%以下ぐらいのはず)のがベストです。

2010年7月7日水曜日

Core Graphics (Quartz) のみで日本語文字列を描画するライブラリのヘッダファイルを書いてみた

とある理由で UIKit の描画機能が使えず、 Core Graphics のみで文字列の描画処理を行わなければならないことになってしまったので、適当に調べてみました。


■ことのはじめ

Core Graphics の機能だけで日本語の文字列を描画する方法については、既に先人の方々が調べて記事にまとめてくださっていたので、そちらを見ていただければ大丈夫です。
http://iphone-dev.g.hatena.ne.jp/ktakayama/20100129
http://d.hatena.ne.jp/r_kurain/20100316
基本的にはこちらで紹介されている方法に従って進めていけば困ることはありません。ただし、描画した文字が上下反対になることがありますので、 CGContextSetTextMatrix を使う箇所を調整したりする必要があるかも。

で、最大の問題になるのがこれらの記事で紹介されている CGFontGetGlyphsForUnichars と呼ばれる関数です。この関数を使えば楽に日本語文字列を文字化けすることなく描画することができるのですが、あろうことかこの関数はプライベートAPIであり、使うとリジェクトされてしまうらしいです。ということで別の作戦をとらなければなりません。

上記の記事にいろいろな対処方法が載っているのですが、私は一番単純に
http://www.mexircus.com/codes/GlyphDrawing.mm
というライブラリを自分のアプリに組み込む方法を試してみることにしました。この方法を使えば、 CGFontGetGlyphsForUnichars でまず作って動くようにしてから、 CMFontGetGlyphsForUnichars と書き換えるだけでそのまま動作するので楽です。

問題はこのライブラリ、mmファイルしか用意されていないのでそのままではうまく使えません。適当にヘッダファイルを用意してやる必要があります。


■と言うわけで書いたもの

と言うわけで GlyphDrawing.h を書いてみました。
http://gist.github.com/466297

ライセンスは元の GlyphDrawing.mm に準じますが、 GlyphDrawing.mm のライセンスが不明なので、不安ならばまず作者さん (http://mexircus.com/blog/) に一言聞いてみるのがいいと思います。


■使い方
  1. http://gist.github.com/466297http://www.mexircus.com/codes/GlyphDrawing.mm をダウンロードします。
  2. GlyphDrawing.mm のインポートを以下のように書き換えます:
    //#import <Foundation/Foundation.h>
    #import "GlyphDrawing.h"
  3. GlyphDrawing.hGlyphDrawing.mm をプロジェクトに追加してビルドします。
  4. CGFontGetGlyphsForUnichars の代わりに CMFontGetGlyphsForUnichars を呼びだせばOKです。


■実際に使ったコードの例
NSString *message = @"本日は快晴なり";

// フォントを設定
// ついでにmessageのサイズも取得
// ただしsizeWithFontは UIGraphics の機能なので、本当に Core Graphics だけで描画したいならここで使ってはいけません
UIFont *font = [UIFont fontWithName:@"HiraKakuProN-W6" size:32.0];
CGRect messageRect = [message sizeWithFont:font];
CGFontRef fontRef = CGFontCreateWithFontName((CFStringRef)font.fontName);
CGContextSetFont(c, fontRef);
CGContextSetFontSize(c, font.pointSize);

// Glyphを作成
size_t length = [message length];
CGGlyph glyphs[length];
UniChar chars[length];
[message getCharacters:chars range:NSMakeRange(0, length)];
CMFontGetGlyphsForUnichars(fontRef, chars, glyphs, length);

// 文字列が上下反対になるのを防止する
CGAffineTransform transform = CGAffineTransformMakeScale(1.0, -1.0);
CGContextSetTextMatrix(c, transform);
CGContextTranslateCTM(c, 0, messageRect.size.height/2);

// 描画
CGFloat x = 100.0f;
CGFloat y = 100.0f;
CGContextShowGlyphsAtPoint(c, x, y, glyphs, length);

2010年5月30日日曜日

iPad 3G を Xcode につないだら対応していない OS と言われてしまった件



昨日の勉強会でさっそく買ったばかりのiPad 3GをXcodeにつないでみたら、ご覧のように対応していないOSであるとエラーが出てしまいました。

再度iPhone Developer CenterからSDKをダウンロードしてインストールし直したら問題なく動作するようになりました。おそらく単にSDKが古かっただけなのだとは思いますが、一応。

2010年4月29日木曜日

iPadアプリに挑戦中

運良くiPadを輸入して手に入れることができましたので、現在iPadアプリの作成にとりかかっています。最初はiPhoneと対して変わりあるまいと思って作っていたのですが、実機で動かしてみると様々な違いや問題が分かってきました。


■今作っている物とか課題とか

現在作っているのはiPad用の紙のノートです。



数年前からシステム手帳を持ち歩いていたのですが、実際スケジューリング等はすべてiPhoneで行っていました。それでも紙を手放せなかった唯一の理由がアイディア出しです。アナログ人間な物で、手で紙に書き付けないとアイディアが出てこないのです。iPhoneのスクリーンは明らかに小さすぎて手書きには不向きでした。

そこでiPadの大きくなった液晶を使えば紙の代わりができるのではないかと思って早速試して見ました。

ペンの色を4色、太さを4種類用意しています。二本指で左右にスワイプするとページをめくることができます。デバイスを横向きにすると、二ページ見開きの状態にすることができます。この見開きのままでも線を書いたりページをめくったりできます。



できるかぎり実際の紙に近づけたかったため、UIを一切排除しています。


■Gesture Recognizer

ページング処理やペン選択ツールの表示にはスワイプジェスチャを使用していますが、今回このジェスチャを実装するためiPhone OS 3.2より新しく搭載された UIGestureRecognizer というクラスを使用してみました。このクラスを使えば各種ジェスチャを自動的に認識してくれるので、自分でいちいちtapの位置を拾って前回のtapとの差分を検出し・・・ということをしなくても済むようになります。

// Add gesture recognizer to the paper view
UISwipeGestureRecognizer *toolPopoverGestureRecognizer = [[[UISwipeGestureRecognizer alloc] initWithTarget:self
action:@selector(handleToolPopover:)] autorelease];
toolPopoverGestureRecognizer.numberOfTouchesRequired = 2;
toolPopoverGestureRecognizer.direction = UISwipeGestureRecognizerDirectionDown | UISwipeGestureRecognizerDirectionUp;
[self.bookView addGestureRecognizer:toolPopoverGestureRecognizer];
しかしながらいくつか問題が。まず認識精度がそれほどよくないです。特に複数指のスワイプに関しては自分で実装した方が精度が出ると思います。また、ジェスチャは通常のタップとは別に検出されているようなので、二本指でタップしてジェスチャしたときには通常の線描画を切るような処理を含めないと、ジェスチャするたびに線が画面に増えてイライラします。


■他のお絵かきアプリのUI

予想通りというか、ふたを開けてみれば他にもたくさんのドロー系アプリがApp Storeにリリースされていたので、それらのUIを見て研究してみる事にしました。

Adobe ideas for iPad



二本指ドラッグでスクロール、ピンチ操作で拡大縮小。一本指で描画中に二本目が触れると即座に描画をキャンセルしてくれるため、誤ってキャンバスに線が増えてしまうということはありません。よく考えられています。

常に左横にツールバーが表示されているようになっています。ツールバーを置くのは邪魔だろうと思っていたのですが、キャンバスの拡大縮小や移動が自由にできればほとんど邪魔にはならないことがわかりました。むしろすぐアクセスできて便利です。

Autodesk SketchBook Pro



こちらも二本指ドラッグでスクロール、ピンチ操作で拡大縮小。一本指で描画中に二本目が触れると即座に描画をキャンセルしてくれるところも全く同じです。

ツールバーを表示するには、画面中央下の小さなポッチをタップするか、または指三本で画面にタップ。この方が画面を広く使えて嬉しい・・・と思っていたのですが、実際に試してみると意外とイライラします。三本指というのが直感的ではないのかもしれません。このへんは人によるのかもしれませんが、私は常にツールバーが表示されている方がスムーズに操作できました。

Penultimate



iWorkと非常に良く似た作りになっていて、しかも操作系はシンプルです。ジェスチャは一切なく、ボタンはツールバーとして常に表示。それはまったく問題ないのですが、画面がスクロールできず拡大縮小もないため、非常に画面が狭く感じ書きづらいです。いくらiPadが大画面とはいえ、ペン先が通常のペンに比べて太い(私が好んで使うペンは0.4mmですが、iPad上の指は10mmぐらい幅があるので、およそ25倍も大きい)ため、せいぜい数文字しか綺麗に書けません。

その他特筆として、ペンの書き味が素晴らしいです。描画速度が速く非常に追従性がよい。すらすら書けます。


■お絵かきアプリのUIまとめ

いくつか使ってみて、さらには自分でも作ってみて感じたのが以下のようなこと。
  • 紙ではなくてホワイトボードのメタファとして使用するとうまくいく
  • 拡大・縮小・スクロールは絶対必須 無いとアプリとして成立しない
  • ジェスチャを使ってメニューを出すのは思ったよりも効果的ではない
  • 書き味はや動作速度は大事、使っていて楽しくなる
まず一番目。ペン先が太く、消しゴム削除がたやすく、アンドゥリドゥもできるので、書いている間隔がホワイトボードに近い気がします。そのため紙ではなくてホワイトボードだと思って実装するとよさそうです。

二番目。ペン先がやたら太いわりには画面サイズが1024x768しかないので、拡大縮小スクロールできないと話になりません。逆にこれができれば事実上キャンバスサイズは無限大にできるわけで、デバイスサイズ以上の活躍をしてくれます。

三番目。ジェスチャ自体は上手く使えば非常に有効です。たとえばアンドゥリドゥなどの操作はジェスチャで行う方が直感的でした。しかしメニューは常時画面に表示していた方が良い気がします。

最後、四番目。動作速度は極めて大事だと感じました。特に描画速度は最も大事で、線を引くのがもっさりしてしまうとそのせいで綺麗な曲線にならなかったり、単純にイライラしたりします。実物のホワイトボードに書くぐらいの速さで描画ができるように目指したいです。