2014年12月26日金曜日

Carthage で Code Sign Identity および Provisioning Proifleを直接指定してビルドする方法

誰得情報なのでメモだけ残しておきます。
手元のMacに複数のCode Sign Identityがあってビルドが失敗する人向けです。

akisute Test$ carthage update
*** Fetching SwiftState
*** Fetching SwiftTask
*** Checking out SwiftState at "1.1.1"
*** Checking out SwiftTask at "2.4.0"
*** xcodebuild output can be found in /var/folders/gk/205sh3lx1qdfrwtxcb_tj97m0000gp/T/carthage-xcodebuild.uzBMvq.log
*** Building scheme "SwiftState-iOS" in SwiftState.xcodeproj
*** Building scheme "SwiftState-OSX" in SwiftState.xcodeproj
*** Building scheme "SwiftTask-iOS" in SwiftTask.xcworkspace
*** Building scheme "SwiftTask-OSX" in SwiftTask.xcworkspace
** BUILD FAILED **


The following build commands failed:
Check dependencies

(1 failure)

akisute Test$ tail -n 10 /var/folders/gk/205sh3lx1qdfrwtxcb_tj97m0000gp/T/carthage-xcodebuild.uzBMvq.log
** BUILD SUCCEEDED **

Build settings from command line:
    SDKROOT = macosx10.10

=== BUILD TARGET SwiftState-iOS OF PROJECT SwiftState WITH CONFIGURATION Release ===

Check dependencies

Code Sign error: Multiple matching codesigning identities found: Multiple codesigning identities (i.e. certificate and private key pairs) matching “iPhone Developer” were found.



こういうときは環境変数を使って、
JP11688 kaa$ CODE_SIGN_IDENTITY="iPhone Developer: Masashi Ono" carthage update
*** Fetching SwiftState
*** Fetching SwiftTask
*** Checking out SwiftState at "1.1.1"
*** Checking out SwiftTask at "2.4.0"
*** xcodebuild output can be found in /var/folders/gk/205sh3lx1qdfrwtxcb_tj97m0000gp/T/carthage-xcodebuild.5z3CLW.log
*** Building scheme "SwiftState-iOS" in SwiftState.xcodeproj
*** Building scheme "SwiftState-OSX" in SwiftState.xcodeproj
*** Building scheme "SwiftTask-iOS" in SwiftTask.xcworkspace
*** Building scheme "SwiftTask-OSX" in SwiftTask.xcworkspace


または、
JP11688 kaa$ PROVISIONING_PROFILE="XXXX-XXXX-XXXX-XXXX" carthage update
*** Fetching SwiftState
*** Fetching SwiftTask
*** Checking out SwiftState at "1.1.1"
*** Checking out SwiftTask at "2.4.0"
*** xcodebuild output can be found in /var/folders/gk/205sh3lx1qdfrwtxcb_tj97m0000gp/T/carthage-xcodebuild.5z3CLW.log
*** Building scheme "SwiftState-iOS" in SwiftState.xcodeproj
*** Building scheme "SwiftState-OSX" in SwiftState.xcodeproj
*** Building scheme "SwiftTask-iOS" in SwiftTask.xcworkspace
*** Building scheme "SwiftTask-OSX" in SwiftTask.xcworkspace

参考: http://stackoverflow.com/questions/9264727/code-sign-identity-parameter-for-xcodebuild-xcode4
参考: https://github.com/Carthage/Carthage/issues/235

Container View Controllerを作ってみよう

今日は冬休みの工作ということで、iOSのContainer View Controllerを作ってみようと思います。

Container View Controllerとは

一言で言うと、他のUIViewControllerを包含して表示するUIViewControllerのことです。どのように包含して表示するかによって、たとえばUINavigationControllerやUITabBarController、UIPageViewControllerのような実装があります。

iOS 5からはこのContainer View Controllerを自作する事が可能になりましたが、実装が面倒なのと大体の場合においてUIKitが用意しているContainer View Controllerを使うかcocoapodsあたりからそれっぽいライブラリを拾ってくれば解決するためかあまり具体的な実装方法が話題になっていないようです。今回たまたま作る機会があったのでその時の内容をメモしておこうかと思います。

Container View ControllerへのView Controllerの追加

Container View Controllerを作るには、UIViewControllerを継承したクラスを作成して、そこに- (void)addViewController:(BOOL)animatedのような管理対象のView Controllerを追加するメソッドを作ってやればよいです。
ここで、Container View ControllerにView Controllerを追加する上で基本的にやらなくてはならないことは以下の5ステップにわかれます。
  1. addChildViewController:
    • このタイミングでContainer View Controllerに対象のView Controllerが格納されます。ただしViewはまだ表示されません。
  2. didMoveToParentViewController:
    • Container View Controllerに対象のView Controllerが格納されたことを通知します。
  3. beginAppearanceTransition:animated:
    • これからViewが表示されることをContainer View Controllerおよび対象のView Controllerに通知します。viewWillAppearに相当します。
  4. addSubview:
    • 実際にViewを表示します。必要に応じてアニメーションもつけます。
  5. endAppearanceTransition
    • Viewの表示が完了したことをContainer View Controllerおよび対象のView Controllerに通知します。viewDidAppearに相当します。

実際のサンプルコードはこちら。


Container View ControllerからのView Controllerの削除

View Controllerに追加した時に実施したことを逆順に実施してやればOKです。- (void)removeViewController:(BOOL)animatedのようなメソッドを作ってやって、そこに実装を書けばよいでしょう。
サンプルコードにするとこんな感じになります。


shouldAutomaticallyForwardAppearanceMethodsの設定

先に答えだけいうと、何もしないでいいです。このメソッドの存在そのものを忘れて構いません。

iOS 6から追加されたメソッドで、overrideして使用します。このメソッドがYESを返すときは、Container View Controller自身が他のContainer View Controllerに追加されるなどして表示されviewWillAppear/viewDidAppearが呼び出されるタイミングで自動的にchildViewControllersに対してもviewWillAppear/viewDidAppearを呼び出します。NOの場合は自動的に呼び出されないため手動でchildViewControllersの表示状態を管理し、適時beginAppearanceTransition:animated:を呼び出す必要があります。

デフォルトはYESで、基本的にはデフォルトのまま使えば問題ありません。NOを返したいケースは、たとえばContainer View Controllerが画面に表示されてから一瞬遅れてchildViewControllersをアニメーションしながら表示したいなどの要件がある場合に限られるでしょう。

2014年12月23日火曜日

ReactiveCocoa を Swift から使ってみた

FRP(Functional Reactive Programming)なるものが流行っているらしいので、私もたまには流行に乗っかってみることにしました。手始めにReactiveCocoaをSwiftで一日ほど使ってみました。

導入

こちらのブログにまとまっていますので、そちらを参照していただければ良いかと。基本的にはCocoaPodsで一発です。
http://tnakamura.hatenablog.com/entry/2014/11/15/how_to_use_reactivecocoa_in_swift

ドキュメント

基本的にはプロジェクトのGitHubにしっかりドキュメントがあるのでそれを見ればだいたい大丈夫かなと思います。
https://github.com/ReactiveCocoa/ReactiveCocoa
https://github.com/ReactiveCocoa/ReactiveCocoa/tree/master/Documentation
APIの使い方がわからなければヘッダファイルを見れば相当詳細にコメントがついているのでそれでほぼ問題無いです。それでもわからなければ結構ググればかなりヒットします。熱狂的なファンがいるようです。

概念

こちらのページに非常に詳細に書いてあるのでお勧めです。こちらを見るだけでなんとなく概念がつかめてReactiveCocoaは何をするフレームワークなのかがわかって良いと思います。以下主要なクラスに対して私が理解した内容です(間違ってたらゴメンナサイ)。

RACStream

連続した値を表すすべての既定概念。連続した値というのは今現在すぐに返せる値も通信や計算などによって将来的に返される値も含む。関数型言語で言うところのモナドらしいけどモナドはさっぱり。

RACSequence

RACStreamの実装の一つで、Pull-Baseなもの。すなわちユーザが値を要求して、それに対して値を返すオブジェクト。関数型言語でいうところのリストとかシーケンス。

RACSignal

RACStreamの実装の一つで、Push-Baseなもの。すなわちシステムが何らかのイベントやタイミングに応じて値を返すオブジェクト。もちろん値が返ってくるのは直後かもしれないし遠い未来かもしれない。

RACSubscription

RACSignalに対するコールバックみたいなもの。Promiseパターンのthenとかcatchとかfinallyみたいなもの。

RACCommand

UIBarButtonItemとかUIButtonなどのユーザーインタラクションを表すクラスみたいです。まぁ要するにIBActionみたいなもののようです。加えてRACSignalを使ってenabledの状態をコントロールしたりsenderをfilter/map/reduce/その他いろいろ加工可能。

RACTuple

引数とか返り値とかでよく使われるタプル。Swiftのtupleとは違うので注意。

だいたいこれぐらいわかっていたらコードが書けました。

実験

単純なメモアプリを作って実験しようと思いとりあえずこんなテーブルビューを作ってみました。

そしたら問題が出るわ出るわ。

マクロが使えない

Swiftからだと便利なマクロが使えないので非常に困ります。さらに次に挙げる一部の問題はマクロがないと解決できません。

配列の内容変化に対してRACSignalを取れない

オブジェクトの変化を監視するRACSignalがKVOを元に実装されていて、KVOがArrayに対して使用できないので当然なんですが、これのせいでいきなりReactiveCocoaの世界からいつものCocoaの世界に引き戻されます。
良い対処法はないようです。一応Objective-Cならマクロとか使って対応可能なように見えますがSwiftではどうしようもありませんでした。
https://github.com/ReactiveCocoa/ReactiveCocoa/issues/500
https://github.com/ReactiveCocoa/ReactiveCocoa/issues/1197

delegateパターンをRACSignalに変換するのが厄介

RACSubjectという自分で自由自在に状態を操作できるRACSignalのサブクラスを使ってシグナルをコントロールする方法がまずお手軽です。

またはこちらのブログで紹介されているrac_signalsForSelectorなどを使う方法もあります。
http://spin.atomicobject.com/2014/02/03/objective-c-delegate-pattern/

内部的に黒魔法が多い

先ほどのrac_signalsForSelectorもそうですが、内部で平然とmethod swizzlingを使い放題使いまくっていたりするのでちょっと怖いです。


まとめ

Objective-CでFRPの勉強をするにはちょうどいいんじゃないでしょうか。

2014年12月19日金曜日

SwiftからCやObjective-Cのライブラリを扱うときのテクニック数点

Objective-C Bridging Headerを利用することで、Swiftは既存のいかなるC/Objective-Cコードのシンボルでも呼び出すことが可能になっています。しかしながら場合によってはSwift単体では素直に書きづらいハマりどころがあります。C/Objective-Cのラッパーを作り、Objective-C Bridging Header経由でSwiftから呼び出せば全ての問題は解決できるのですが、面倒くさいですしやはりSwift単体で何とかしたいですよね。そこでここでは素直に書きづらいハマりどころと、それを何とかしてSwift単体で解決する方法をご紹介します。

※以下の情報は2014/12/19現在のものです。Swiftは言語仕様の変化が激しいので予期せず変更されている場合があります、ご了承ください。

1. ARCに管理されていないObjective-Cオブジェクトを扱う

例えばKeychainを扱うAPIなどで、ARCに管理されていないObjective-Cオブジェクトを扱うことがあります。このような場合にはUnmanaged型を使用します。

Unmanaged型はメソッド経由でretain, release, autoreleaseを行うことができるほか、takeUnretainedValue()またはtakeRetainedValue()メソッド経由でT型のSwiftオブジェクトを取り出すことができます。

2. C言語のポインタを扱う

生のC言語のポインタを扱う場合、たいていのケースではUnsafePointer型を使うようにCのAPIがSwiftのAPIに変換されます。このとき、Swift上ではUnsafePointer型を要求するのに、C言語のAPI的にはNULLを渡したい場合には、nilを渡すことができないので、代わりにUnsafePointer.null()を渡すことができます。

UnsafePointer以外にもCOpaquePointer型やCFunctionPointer型に変換されるAPIもありますが、この場合も同様にCOpaquePointer.null()やCFunctionPointer.null()をAPIに渡してやればうまくいきます。

3. cStringUsingEncoding()メソッドの罠に注意する

SwiftにはSwiftネイティブのString型とCocoaのNSString型が存在します。基本的にはこの2つは自動的にうまい具合にブリッジされるためプログラマは違いを意識する必要がありませんが、実はcStringUsingEncoding()メソッドを使う場合にはこれが重大な問題になってきます。String.cStringUsingEncoding()は[CChar]?を、NSString.cStringUsingEncoding()はUnsafePointerを返すのです。さらにコンパイラは文字列をStringとして解釈するのを優先するため、先ほど述べたC言語のAPIに渡す際に型が合わないという理由でエラーになりがちです。

対策として上記の通り明示的にNSStringにキャストすることをおすすめします。

4. enum値のOR結合を何とかする

すみません、なんともなりませんでした(´・_・`)
例えば以下のようなコードを書くこと自体は可能なのですが、適切なenum値を得ることができません。optionsはnilになってしまいます。

どうしてもOR結合が必要なenum値が存在する場合は、現状C/Objective-Cでラッパーを作りObjective-C Bridging Header経由でSwiftから呼び出すしかないようです。