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2011年4月17日日曜日

Xcode 4 で scheme が My Mac 64bit になって iPhone 向けのビルドが出来なくなった時の対処法



最近会社のプロジェクトで使う Xcode を Xcode 4 に乗り換えたのですが、全く新しく作り直された バグだらけでまともにビルドすら出来ない上に無料じゃなくなったどうしようもない出来映えの IDE ということで、何かとトラブルが多いようです。今回はその中でももっとも頻発したものをご紹介します。

たまに iOS 向けのプロジェクトを Xcode 4 で開いたときに、左上の scheme 選択欄に My Mac 64bit と表示されてしまって iPhone シミュレータや実機でビルドが出来なくなることがあるようです。

対処法はこちら。
http://stackoverflow.com/questions/5319251/xcode-4-the-selected-run-destination-is-not-valid-for-this-action

Build Settings を開き、 Base SDK の設定をいったん Mac OS X SDK に変更してから、もとの iOS SDK に戻すと問題が解決されるようです。これで一安心ですね。

Xcode 4.0 と Xcode 4.0.1 で再現することを確認しました。 Xcode 4.0.2 では未確認です。

Xcode 4 で build target 名にスペースが含まれているとビルド時に 100% エラーになる



タイトルからしてひどい出落ちですが、 Xcode 4 で build target 名にスペースが含まれているとビルドを行った際に 100% ビルドに失敗します。

原因がまたお粗末で、 Xcode 4 は build target 名をビルド成果物の中間配置ディレクトリの名前に使っているのですが、スペースをエスケープしていないためコンパイラが正しくパスを解釈できずに落ちているようです。がっくし。



Xcode 4.0 での調査結果です。 4.0.1 または 4.0.2 では修正されている可能性がありますが、いずれにせよスペースはさけたほうが良さそうです。

2011年3月17日木曜日

Xcode 4 で昔の Three20 フレームワークを使っているプロジェクトをビルドする方法

主に自分用のメモ。
Xcode 3 時代に作った Three20 フレームワークを使っているプロジェクトが動かない場合の対処法です。


動かない原因は簡単で、Xcode 4からはビルドした生成物が用意される場所が、各プロジェクトのbuildディレクトリ以下から、
~/Library/Developer/Xcode/DerivedData/プロジェクト名/Build/Products
以下に移動しているからです。なので、たいていの場合ヘッダ検索パスが間違っているので動かなくなります。

対処法はThree20公式ブログに載っているので転載します。
http://three20.info/article/2011-03-10-Xcode4-Support

以下のようにヘッダ検索パスを追記すると良いようです。
"$(BUILT_PRODUCTS_DIR)/../three20"
"$(BUILT_PRODUCTS_DIR)/../../three20"


2011/04/03追記: はじめに載せていた対処法は間違いでしたorz 大変申し訳ありません!
以下、はじめに掲載していた間違っている対処法です。この方法では通常のビルドはうまくいきますが、アーカイブ時のビルドに失敗します!どうもアーカイブ時と通常のビルド時でもビルド先のディレクトリが指し示す先が異なるようです、

対処法は、以下のようにヘッダ検索パスを書き直します。
$SYMROOT/three20


$SYMROOTという環境変数がキモです。



こいつはドキュメントには書いてませんが、Xcode 4のビルド設定ですと、
~/Library/Developer/Xcode/DerivedData/プロジェクト名/Build/Products
に対応するパスを返してくれるようです。

2011/04/03追記: 上にも書きましたが、アーカイブ時には上記に対応するパスではなく、異なるパスが使われます。そのためこの方法ではうまくいきません。Three20.infoに掲載されている方法を使うのが一番良いようです。

2011年3月16日水曜日

Python で Xcode のビルドスクリプトを書く方法

以前こんな記事を書きましたが、今回はもっと実践的なお話。PythonでXcodeのビルドスクリプトを書いてハッピーになろうというお話です。


■なぜXcodeのビルドスクリプトを書くのか

Xcodeのビルド機能だけでは出来ないことをやりたいからです。たとえば、
  • 特定のディレクトリの中に入っているリソースを、ビルド時にアプリにパッケージングしたい。
  • ビルドする前に、特定のリソースを暗号化して、アプリにパッケージングしたい。
といった要望が結構ありますが、これらはビルドスクリプトを使えば簡単に可能になります。
手でいちいちやるより楽で安全ですね。


■なぜPythonか

理由はいくつかあります。
  1. Windows, Mac, Linux, 全ての環境で動く。したがって、万が一のときにはビルドスクリプトだけを移植できる。
  2. sh とか csh とか非力すぎてやってらんない。 zsh もつかえるけど Python よりはやはり弱いと思う。
  3. スクリプトを Xcode 内部のエディタで書いて、そこに閉じ込められてしまうため、可搬性が無くなってしまう。
  4. 外部スクリプトにしておくと、引数としてオプションを渡せるので、ビルド設定に応じてオプションを切り替えたり、テストと本番でオプションを切り替えて動作を変更する、とかできる
たとえばクライアント・サーバーアプリで、サーバー側がPythonで出来ていたりする場合、
サーバー側の処理を一部ビルド時にやりたいとかあったりするわけですよ。・・・たまに。・・・ごくまれに。
そういうときに便利です。


■例:

長々と語るより例を示した方がよいと思うので、さっそくビルドスクリプトの例を示します。
ここでご紹介するのは、プロジェクトの/Resources/MyResourceディレクトリ以下にあるファイルを全てアプリバンドル内の/MyResourcesディレクトリ以下にコピーするだけの簡単なビルドスクリプトです。オプションとして平文/暗号化の有無を選択できるようにしてみました(実装はしてないです><)

Xcodeがビルドスクリプトを実行する際に、環境変数にたくさんの情報をセットしてくれます。なので、Pythonの os.environ を使ってそれらの情報を拾っていきます。Xcodeがセットしてくれる環境変数についてはhttp://developer.apple.com/library/ios/#documentation/DeveloperTools/Reference/XcodeBuildSettingRef/0-Introduction/introduction.htmlにまとめがあります。

#! /usr/bin/env python
# coding: utf-8

import os
import shutil
from optparse import OptionParser

def main():
# Option parser settings
#
description = """Sample build script"""
package_type_choices = (
'plain',
'crypted',
)
parser = OptionParser(description=description)
parser.add_option('-t', '--type',
action='store',
type='choice',
choices=package_type_choices,
default=package_type_choices[0],
dest='package_type',
help='Type of the destination package',
metavar='TYPE')
(options, args) = parser.parse_args()
print "*** Begin packaging resources. Package type is %s. ***" % options.package_type
# Env var settings
#
src_resources_path = "%s/Resources/MyResources" % (
os.environ['SRCROOT'],
)
destination_resources_path = "%s/%s/MyResources" % (
os.environ['TARGET_BUILD_DIR'],
os.environ['UNLOCALIZED_RESOURCES_FOLDER_PATH']
)
# Create target dir
#
print "*** Creating the destination MyResources directory at %s ***" % destination_resources_path
if os.path.isdir(destination_resources_path):
shutil.rmtree(destination_resources_path)
os.mkdir(destination_resources_path)
# Copy each resources in src_resources_path to the destination
#
for root, dirs, files in os.walk(src_resources_path):
for dir in dirs:
# TODO: This implementation is only for 'plain' packaging. Implement the 'crypted' packaging later
print "*** Copying the resource %s to the target build location ***" % dir
fromdir_path = os.path.join(root, dir)
todir_path = os.path.join(destination_resources_path, dir)
shutil.copytree(fromdir_path, todir_path)
print "*** Removing garbage files from the copied resource ***"
for r, ds, fs in os.walk(todir_path):
for f in fs:
# .から始まるファイルをゴミファイルと見なしてパッケージに加えないようにします
if f.startswith('.'):
os.remove(os.path.join(r,f))
print os.path.join(r,f)
# Make sure not to traverse into the subdirectories
del dirs[0:len(dirs)]
# Completed
#
print "*** Packaging resources is successfully completed! ***"

if __name__ == "__main__":
main()
はい、できました。Pythonを使ったメリットとして、 optparse モジュールのおかげでオプションを扱うのがすごく楽にできるとか、リストを扱うのが強力とかが見て取れます。ファイル名の文字列加工も shやcsh の中で sed を使うより安全でらくちんです。


■Xcodeから呼び出す

あとはこれをXcodeのビルド時に呼び出すようにしてやれば良いだけです。

Xcode 3の場合には、画面左のナビゲーションバーからターゲットを選択して、「新規ビルドフェーズを追加」→「スクリプトの実行」とかで出来たと思います。
Xcode 4の場合には、以下の画像が示すとおりにすればOKです。



はい、出来ました。あとはビルドするたびに毎回このスクリプトが実行されてくれるわけです。

画像では紹介してないですが、もちろん呼び出し時にオプションをつけたりできますよ。
/usr/bin/env python $SRCROOT/bin/mybuildscript.py --myoption=1 -v --enable_my_secret

LLVM compiler 2.0 (clang 2.9) で linker にパスを出力させる方法

Xcode 4 から使えるようになった LLVM compiler 2.0 (clang 2.9) の覚え書きです。リンカにパスを出力させる方法を調べてみました。

※ clang 2.8 じゃなくて 2.9 がベースになってるみたいです。ごめんなさい><



方法は簡単。ビルド設定中のOther Linker Flags (OTHER_LDFLAGS) に、
-v -Xlinker -v
または
-v -Wl,-v
を与えればOKです。


ほいごらんのとおり。

gcc 4.2 または LLVM gcc 4.2 を使っているときは、 gcc がコンパイルして ld でリンクするようになっていましたが、 clang を使うときは clang が一人でコンパイルして一人でリンクまでやってしまいます。そのため、これまで通り普通に-vを渡しただけではうまくいきません。これだと、単に clang が verbose モードになるだけですからね。そこで -Xlinker とか -Wl を使ってリンカを verbose モードにすればOKということです。詳細はman clangすべし。