2010年10月10日日曜日

iPad 用スタイラス oStylus を試してみた



つい最近販売開始した oStylus という全く新しいタイプのスタイラスを購入して二週間ほど使ってみましたので、レビューを書いてみます。

2011/02/01追記 - 新価格など記載


■そもそも oStylus って何?

http://ostylus.com/
http://japanese.engadget.com/2010/07/14/ostylus/

とあるカナダの会社が作った、全金属製の静電誘導式タッチパネル用(早い話が iPad 用)スタイラスです。最大の特徴はこれまでにない全金属製であるということ(なんと先端まで金属です)と、なにより先端のタッチ部分が Oの字 になっていてタッチ面を見ながら描画ができるという点です。2010/10/10現在はまだ早期生産フェーズということで、限定250本のみ販売。1本75ドルでした。限定モデルにはすべて刻印が彫られており、私のスタイラスは058番です。


■最初に結論

良い点は以下の通り
  • 全金属製のためタッチ感度は抜群(ほぼ指と同じ)
  • タッチペンの滑りが非常に良い、滑らせることを前提にした設計
  • ペン先を見ながら書ける唯一のスタイラス
  • スポンジ式のペンに比べてペン先が頑丈で寿命が長い
悪い点は以下の通り
  • 価格が非常に高い(75ドル)
  • 2010/10/10現在まだ量産されていないため簡単には手に入らない
  • 長くて重い、持ち運びには全く向かない
  • ペン先の自由度が1軸しかないため慣れるまで書きづらい、慣れてもちょっとツラい
  • 余りにも滑りが良く、ペンと紙とは違った感覚のため、字が書きづらい
  • 保護用のビニールが貼ってあるが、それでもiPadの表面にダメージが入る可能性がある
それでは個別に見ていきます。


■外見

全金属製で重さは100gちょっとぐらい、太さは一般的な鉛筆と同じぐらい、長さは日本で一般的に出回っているボールペンなどよりちょっと長い感じです。慣れるまで重くて長く感じます。慣れても大きめのため持ち運びには大変不便です。簡単に携帯できる Pogo Sketch と異なり、 iPad と一緒に持って歩くには何らかの工夫が必要になると思います。

先端の針金みたいなところは一件弱そうに見えますが、頑丈に作られている上に素材も丈夫で、そうそう簡単には破損しません。また金属であるためスポンジタイプのスタイラスと違い摩耗がほとんど発生しません。長持ちします。

Oの字部分の裏にはビニールが貼られており、そのおかげで iPad の表面に傷を付けないですみます。また滑りも良いです。野外広告用のビニールだそうで、耐久性も抜群だとか。このビニールは本体とは別に2つ添付されているので、万が一はげてしまっても安心です。

実際に二週間ほど書いてみたところ、目立つようなキズは確かに発生しませんでしたが、表面に貼ってある保護シート(エレコム製)にほんのわずかながら擦り傷のような後が残りました。保護シートをに貼り替えてみたところいまのところそのようなキズは発生しておりません。保護シートの質によってダメージが発生するのかもしれません。保護シート無しで直接本体に触れさせたときのダメージは今のところ不明です。言われなければ気づかないようなレベルですが、それでも気になる方は oStylus の使用を避けた方が無難です。


■動作

動作についてはこちらの公式ビデオを見るのが一番です。


簡単に補足しますと、まず形状が独特であるため、使い慣れるまで非常に苦労します。長くて重いですし、先端は自由度が1軸しかないため Pogo Sketch のペン先に比べてペンと同じように書きづらいです。しかしながらひとたび慣れてしまうと、このスタイラスのメリットがどんどん生きてきます。金属製だけあってタッチ感度は群を抜いてダントツですし、ペン先のすべりも表面のビニールのおかげか非常に良く、まるで抵抗を感じません。スルスル書けます。ペン先が見えるためズームしなくても細かい入り組んだ線が簡単に書けます。デザイナーさんが絵を描くときに使えそうです。


■まとめ

これまで様々な種類のスタイラスを試しましたが、全く新しく他に例がない独特なスタイラスだと思います。書き味も独特です。個人的には手書きで文字を書いたりするときには Pogo Sketch のほうが実際のペンに近い感覚なので好きなのですが、細かい線を引いたりデザインをしたりする人にはこちらの方が大きくて安定し接地面を見ながら描くことができるのでお勧めです。

2010/10/10現在はまだ価格も高く簡単には手に入らないのですが、今後量産が進むかどうか楽しみなアイテムです。


■2010/10/30追記

作者のAndrewさんから次の量産型モデルについてお知らせをいただきました!それによると、次のモデルはなんと半額の$37.50、今の円高を利用すれば3000円とちょっとで買えるようになるそうです!送料は以前かかりますがかなりの進歩だと思います。

また、以前使っていたときに表面にうっすら傷が入ったと書きましたが、新しくシートを貼り替えて一ヶ月ほど使っていますが全く傷が入っていません。使い方の問題か、もしくはシートの品質の問題だったようです。また、次バージョンではさらに傷がつきにくくなるよう先端の加工が見直されるとのことなので、ますます楽しみです。


■2011/02/01追記

http://ostylus.com/order.html から$37.50と送料で購入できるようになっています!私が持っている早期生産モデルから改良も施されているようです。

2010年10月5日火曜日

Android のメモリ管理は大変です

■理想

AndroidってJavaだからメモリ管理なんてしなくてもいいよね!!


なんて思っていた時代が私にもありました・・・


■現実
    @Override
    protected void onDestroy() {
        super.onDestroy();
        // 画面が回転した時など、Activityが破棄されるときに呼び出されます
        // すべてのメモリはここで開放します
        // - 特に危険なのが内部クラス(MyWebChromeClientなど)、正しく開放しないとActivityが開放されません
        // - セットしたbackgroundのcallbackもnullにしないと開放が行われません
        // - webViewのdestroy()を忘れると後からGCが走ったときにVMがクラッシュします
        this.webView.stopLoading();
        this.webView.setWebChromeClient(null);
        this.webView.setWebViewClient(null);
        this.unregisterForContextMenu(this.webView);
        this.webView.destroy();
        this.webView = null;

        Drawable backgroundDrawable = this.backgroundViewGroup.getBackground();
        backgroundDrawable.setCallback(null);
        this.backgroundViewGroup.setBackgroundDrawable(null);
        this.backgroundViewGroup = null;
        this.mainViewGroup = null;
        this.anotherViewGroup = null;
    }
これだけやらないと平気でクラッシュします。マジです。しかもGCが走るまでクラッシュしないとかそういう厄介すぎる現象に2回ほど遭遇しました。

WeakReferenceとか使えばいいんでしょうけど面倒なんですよねぇ。


■Google曰く

http://d.hatena.ne.jp/nakamura001/20101002/1286015483

iPhoneより普通に厳しい気がするのは気のせいでしょうか


■結論

AndroidはJavaではないのできちんとメモリ管理をしましょう!

2010年9月12日日曜日

iPhone 開発規約まとめ

あんまり iOS 上での開発規約とか見かけないので、試しに私が今個人/会社で使っている開発規約を公開してみることにしました。


■設計

設計は所謂 MVC と呼ばれる設計モデルを採用します。ただし、厳密な MVC というわけではなく、以下のような区分になっています。
  • Model
    Core Data を使用します。通常 MVC での Model というと業務ロジック等を含めた業務モデル一般すべてを含むのですが、私の場合は特に Core Data の NSManagedObject を Model として扱い、 Model 単体のみで完結するロジックのみを Model に記述します。たとえば、
    • Core Data から対象の Model とその関連 Model 取得
    • Model の新規作成
    • 新規作成時、更新時に自動的に Model のプロパティを更新する
    • Model のプロパティの値を元に幾何学計算をしたり、一時的に使うキャッシュを用意したりする
    などです。実際のコードのサンプル (ニュースサイトのニュースを表す News モデルの実装) はこんな感じになります:
    #import "News.h"

    @implementation News

    @dynamic body;
    @dynamic title;
    @dynamic imageURL;
    @dynamic objectId;
    @dynamic dateCreated;
    @dynamic dateUpdated;
    @dynamic sortOrder;

    @end

    //----------------------------------------------------------------------------------------
    // ここから上は .xcdatamodel ファイルから自動生成されたコードなので触れないようにします。
    //----------------------------------------------------------------------------------------

    #import "AppDelegate.h"

    @implementation News (NSManagedObject)
    - (void)awakeFromInsert {
    [super awakeFromInsert];
    // Insert
    self.dateCreated = [NSDate date];
    }
    - (void)willSave {
    [super willSave];
    // Update
    // DO NOT DO THIS in here because updating self.dateUpdated will call -willSave method recursively until this application crashes!
    // Use NSManagedObjectContextWillSaveNotification / NSManagedObjectContextObjectsDidChangeNotification and watch the time delta of previous change
    // If the time delta is small enough to ignore, do not update dateUpdated property to avoid infinite loop
    //self.dateUpdated = [NSDate date];
    }
    - (void)awakeFromFetch {
    [super awakeFromFetch];
    // Select
    }
    @end

    @implementation News (DBAccessors)
    + (NSArray *)all {
    AppDelegate *appDelegate = [AppDelegate appDelegate];
    NSFetchRequest *request = [appDelegate.managedObjectModel fetchRequestTemplateForName:@"allNews"];

    // Sort by sortOrder, ASC
    NSArray *sortDescriptors = [NSArray arrayWithObjects:
    [[[NSSortDescriptor alloc] initWithKey:@"sortOrder" ascending:YES] autorelease],
    nil];
    [request setSortDescriptors:sortDescriptors];

    NSError *error = nil;
    NSArray *resultArray = nil;
    if (!(resultArray = [appDelegate.managedObjectContext executeFetchRequest:request error:&error])) {
    // handle the error;
    NSLog(@"Unresolved error %@, %@", error, [error userInfo]);
    return nil;
    }
    return resultArray;
    }
    + (id)get:(NSString *)targetId {
    AppDelegate *appDelegate = [AppDelegate appDelegate];
    NSDictionary *substitutionVariables = [NSDictionary dictionaryWithObject:targetId
    forKey:@"objectId"];
    NSFetchRequest *request = [appDelegate.managedObjectModel fetchRequestFromTemplateWithName:@"getNews"
    substitutionVariables:substitutionVariables];

    NSError *error = nil;
    NSArray *resultArray = nil;
    if (!(resultArray = [appDelegate.managedObjectContext executeFetchRequest:request error:&error])) {
    // handle the error;
    NSLog(@"Unresolved error %@, %@", error, [error userInfo]);
    return nil;
    }
    return [resultArray lastObject];
    }
    + (void)deleteAll {
    AppDelegate *appDelegate = [AppDelegate appDelegate];
    NSFetchRequest *request = [appDelegate.managedObjectModel fetchRequestTemplateForName:@"allNews"];

    NSError *error = nil;
    NSArray *resultArray = nil;
    if (!(resultArray = [appDelegate.managedObjectContext executeFetchRequest:request error:&error])) {
    // handle the error;
    NSLog(@"Unresolved error %@, %@", error, [error userInfo]);
    return;
    }

    // Delete all objects fetched
    for (NSManagedObject *obj in resultArray) {
    [appDelegate.managedObjectContext deleteObject:obj];
    }
    }
    @end
  • Operation
    本来の MVC モデルには存在しませんが、私は特別に Operation という区分をもうけています。定義は以下の通り。
    • 一つの業務モデル、業務ロジックを完結させるひとまとまりのロジックであること。要するに本来の MVC モデルの業務ロジック的要素であること。 もっと言うなら Operation だけを切り出して単体テストできること。
    • それなりに重要でかつ量があり、 Controller や Model から共有的に呼びだされること。
    • 非同期で処理ができること。
    • NSOperation クラスのサブクラスにすること。
    たとえばインターネット経由で API を実行して結果を Model に突っ込む処理などは Operation として実装しています。 NSOperation として実装することで、非同期処理が簡単にできるようになるだけではなく、 タスクの依存関係を決めて先に親タスクが実行されるのを待つようにしたり、現在の状態を厳密に判定したり、タスクをキャンセルしたりするのが容易になります。また、将来的に iPhone / iPad のCPUがマルチコアになった場合、 NSOperation を継承しておけばほとんど何もしなくてもその恩恵を受けることができるはずです。
  • View
    ビューです。主に UIKit および Three20 を用いて構築し、必要に応じてその他のビューライブラリを組み込みます。個人的には UIView のサブクラス一般をすべて View として扱っています。 View には描画ロジックと幾何学計算などの補助ロジック、およびそれに必要な最小限のデータのみを持たせるようにします。状態を持ってもかまいませんが、状態のコントロールを View 自身が行うのはできる限り避けます。タッチイベントのハンドリングは必要に応じて View で touchesBegin: などを実装して行いますが、基本的には Controller 側で UIGestureRecognizer を用いて行います。
  • Controller
    コントローラーです。私の中での定義は UIViewController のサブクラスです。アプリの内容に応じて UIKit と Three20 を使い分けます。 本来 Controller は全体の流れのみを管理し実際の処理を行ってはならないということになっていますが、 UIViewController の性質を鑑みて、私は次のように Controller の役割を定義しています。
    • View の管理。
    • 画面遷移, 要するに Controller 間の遷移の管理。
    • タッチイベント、ジェスチャイベント、加速度計などからの入力の受付と処理。
    • 各種 UI コンポーネントの Delegate 処理。 UITextView, UIPopoverController, UIActionSheet, などなどなど多岐にわたります。
    • Operation 完了時の処理など、各種 Notification を受け付けて処理。
    • 上記に必要になるデータ/メソッドの定義。 View に持たせるぐらいならこちらに持たせる。他に持たせるところがないなら Controller にすべて持たせる。
    ということで、 Controller を名乗っていますが実際にはかなり自分で処理をします。こんなのいちいち分けていたら大変ですし・・・といういいわけです。実際のコードサンプルはお見せできないのですが、実装の概要はこんな感じです



  • Application Delegate
    これも本来の MVC モデルには存在せず、本来は Controller として扱うべき物だと思いますが、私は特別に分けています。 Application Delegate は所謂アプリケーショングローバルなデータや設定、オブジェクト、ユーティリティメソッドを管理するものとして扱います。たとえば、
    • Operation 駆動用の NSOperationQueue
    • Model のための NSManagedObjectContext / NSManagedObjectModel / NSPersistentCoordinator
    • 現在通信可能か否かを判定するためのユーティリティメソッド
    • アプリケーショングローバルな Notification を受け取って Application Delegate のプロパティとしてセットする
    などです。これらはほぼすべてのアプリで絶対に必要になるのでテンプレ化しています。


■Xcodeプロジェクト

プロジェクトのグループはこんな感じで分けます。



ビルド設定については、プロジェクト全体のビルド設定は可能な限り使わないようにして、ターゲットごとのビルド設定 ( Cmd+Option+E ) を主に使います。ターゲットが例え複数に分かれても常に同じ物を使うところはプロジェクト全体の設定を変更します。


■命名規則

大体以下のような方針でやっています。
  • Foundation や UIKit など Apple の使っている命名規則に似せること。似てないシグネチャは即リファクタリング対象。
  • ミススペル、Typo、意味のわからない英単語 ( registとか ) は一文字一単語であろうとも発見した瞬間即リファクタリング対象。英語辞書のソースは http://www.alc.co.jp/ とする。
  • 名前はどれだけ長くなろうとも絶対に省略しないこと。 updUniqUsr とか発見したら即リファクタリング対象。逆に BPSuperDuperViewControllerDidFinishedUberTaskNotification とかは表彰モノ。
    • これを BPSDVCDFUTN とか略した奴が現れたら即 SATSUGAI モノです


■まとめ

ここまで書いておいて何ですが、要するに 一貫した基準があるなら 自分らの好きなようにするのが一番いい のかなと思います。