2011年2月9日水曜日

UITableView の cell の中に UITextView を配置したとき発生する問題とその対処方法

たとえば Twitter クライアントや SMS クライアントのように、短い文章を入力させるような画面を作りたいとき, Grouped Style な UITableView の cell の中に UITextView を配置して画面を作る事が良くあるかと思います。通常、この作りでほとんど問題はありませんが、特定の条件下で問題が発生することがわかりましたので、回避策をメモしておきます。


■問題

この問題が発生するのは、以下の条件を満たしたときです。
  1. UITableView の cell の中に UITextView を配置する。
  2. UITextView に、縦スクロールが発生するぐらい長い文字列を入力する。
  3. UITextView の中ほどにカーソルを移動する。
  4. UITableView と UITextView の scrollEnabled プロパティを NO に設定する。
  5. UITextView の text プロパティを変更する。
すると, UITextView および UITableView の scrollEnabled プロパティを NO に設定しているにもかかわらず、勝手に UITableView がスクロールを起こしてしまいます。 UITextView の text プロパティを書き換えたら勝手に UITextView が一番下までスクロールしてしまうのはデフォルトの挙動であり、これは問題ありません. UITextView を単品で使っているときは, scrollEnabled プロパティを NO に設定することでスクロールを発生させずに text を書き換えることが可能なのですが, UITextView を UITableView の中に含めたときのみ, scrollEnabled プロパティが無視されてしまい、この問題が発生してしまうようです。

カスタムキーボードを用意したり、本文中のURLを短縮して差し替えたりなど、結構 UITextView の text プロパティを直接書き換えたい要件があったりするので、このままでは困ります。


■解決方法

そこで、相当な荒技ですが、以下のようにして解決を図ることが可能です。
  1. UITableView の cell の中に UITextView を配置する。
  2. UITextView をいったん removeFromSuperview する。
  3. UITextView をいったん UITableView 以外の場所に addSubview する。
    • UIWindow の直下などがおすすめ。
  4. UITextView の scrollEnabled プロパティを NO に設定する。
  5. UITextView の text プロパティを変更する。
  6. UITextView の scrollEnabled プロパティを YES に設定する。
  7. UITextView を元の view に addSubview する。
  8. UITextView を first responder にする。
コードにすると以下のようになります:
UIView *parentView = textView.superview;
[self.view.window addSubview:textView];
textView.scrollEnabled = NO;

textView.text = [currentText stringByReplacingCharactersInRange:selectedRange withString:shrunkenURLString];
textView.selectedRange = NSMakeRange(selectedRange.location + [shrunkenURLString length], 0);

textView.scrollEnabled = YES;
[parentView addSubview:textView];
[textView becomeFirstResponder];
こうすることで, UITableView が勝手にスクロールしてしまう問題を回避することが可能です。