ちょっと仕事で複雑なiOSの画面を作りたいということになり、デバッグに難儀していた所、Spark InspectorというiOS向けのランタイムインスペクタツールが発売されていましたので、やや乗り遅れた感がありますが私も早速試してみました。
Spark Inspectorを使うと、
- リアルタイムにViewの構造を視覚的に確認し、直接プロパティの値を編集してアプリに反映させることができる
- Webエンジニアの人にわかりやすくたとえるならば、ChromeやFirefoxなどに付いているインスペクタをiOS上で使えるようなものです
- その他、アプリ内を飛び交っているNSNotificationの状態を監視することができる(らしい)
既に試された方のブログ記事で導入方法など詳しく公開されていますので、まずはそちらを見ていただくのが良いかと思います。
Spark Inspectorを導入してみたということで、私は一ヶ月ほど実際に仕事で使ってみて良かった点と悪かった点をまとめてみようかと思います。興味ある方の参考になればと思います。
http://inon29.hateblo.jp/entry/2013/12/06/002948
[Xcode][tool] ランタイムデバッガーSpark Inspectorが便利!
http://blog.natsuapps.com/2013/05/spark-inspector.html
■良かった点
導入が非常に楽です。ブログ記事で既に紹介されている方法は自分のプロジェクトに必要なフレームワークを組み込んで設定する方法ですが、最近のSpark Inspectorはこの方法を用いなくてもXcodeから一発で必要なフレームワークを動的に読み込んでインスペクタを起動してくれます。Viewの階層構造をリアルタイムに監視できるのはやはり非常に有効です。これまでは
UIView
の- (void)recursiveDescription
プライベートメソッドを呼び出したりして状態を確認したりしていたのですが、実行中の画面に対して動的に状態を見て、動的にプロパティの値を書き換えて見た目を調整することができるのは劇的に作業効率を改善してくれます。これってWebプログラミングだと実に当たり前のことなんですが、iOSプログラミングだと余りまだ普及してない考えだなと思います。動作はやや重いですが、2012年モデルのMacBook Airでも問題なく動作させることが出来ました。もちろんiPadのアプリでもちゃんと動作します。
■イマイチだった点
楽に導入できる、自分のプロジェクトに必要なフレームワークを組み込まないやり方では、いくつか制限があります。- 自分のプロジェクトに必要なフレームワークを組み込まないと、実機でSpark Inspectorを動作させることが出来ない。
- 動作が非常に安定しない。プロジェクトによってはかなりの確率で起動に失敗したりする。今回私が仕事で使っていたプロジェクトでは8割ぐらいの確率で起動に失敗していた。
それから地味に痛いのが、表示と編集が可能なのが現状CALayerとUIViewのプロパティのみに制限されているところです。Auto Layoutには対応していませんし、例えばUIScrollViewのcontentInsetを動的に調整してみたりですとかUIButtonの横幅とタイトルを動的に調整してみたりですとかそういう小技が出来ないため、なんというかかなり中途半端感を受けます。結局私の場合は表示されているはずなのに表示されていないViewの構造を調べる程度の用途にとどまりました。