■前提条件
仮に以下のような条件があるとします。
- main.swfとresource.swfがあって、main.swfはflash.net.Loaderクラスを用いてresource.swfをロードしてくるものとする。
var loader:Loader = new Loader();
loader.load(new URLRequest("http://akisute.com/static/swf/sample.swf"); //リモートサーバーからロード
loader.load(new URLRequest("../swf/sample.swf"); //ローカルファイルからロード - ロードしてきたswfは、以下のコードでloader.loaderInfo.contentから取り出して、MovieClipとして処理する。Loaderは破棄する。
function onComplete(event:Event):void {
var loaderInfo:LoaderInfo = event.target as LoaderInfo;
var content:MovieClip = loaderInfo.content as MovieClip;
var mc:MovieClip = content.getChildAt(0) as MovieClip;
} - ロードしてきたswf(以下resourceと呼称)には合計200フレームのタイムラインがあり、1から100フレーム目までにleftというラベルがついて左向きのデータが、101から200フレーム目までにrightというラベルがついて右向きのデータが格納されている。1から100フレーム目までに右向きのデータは存在しない。その逆もしかり。
■問題
- 対象のファイルresource.swfを、ファイルシステムからロードしたときは、なんの問題もなくラベルleftとrightを入れ替えることができる。
- 対象のファイルresource.swfを、httpでリモートサーバーからロードしたときは、leftとrightを入れ替えた瞬間に、resourceのアニメーションがバグる。stop()やgotoAndPlay()などの命令を無視した動きをする。
- ローカルファイルとリモートサーバー、どちらのresource.swfも完全に同一のファイル。ファイルサイズもタイムスタンプもsha1ハッシュも完全に一致。
■調査:取ってきたswfをdescribeTypeしてみる
愚痴っても仕方がないので調査します。まずは取ってきたswfに対して、flash.util.describeType()を実行し、オブジェクトダンプしたXMLを見てみます。するとローカルファイルから取ってきた場合とリモートサーバーから取ってきた場合で、以下のような違い(diff)がある事が分かりました。
1c1diffなのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、よく見ると以下のような差異があることが分かります。
< ## LOCAL ##
---
> ## REMOTE ##
5,6c5
< <type name="sample_fla::left_33" base="flash.display::MovieClip" isDynamic="true" isFinal=&quot;false" isStatic="false">
< <extendsClass type="flash.display::MovieClip"/>
---
> <type name="flash.display::MovieClip" base="flash.display::Sprite" isDynamic="true" isFinal="false" isStatic="false">
15,18d13
< <variable name="leftArm" type="flash.display::MovieClip"/>
< <variable name="leftLeg" type="flash.display::MovieClip"/>
< <variable name="leftHead" type="flash.display::MovieClip"/>
< <variable name="leftBody" type="flash.display::MovieClip"/>
- LOCALにはきちんとしたクラス名がついており、MovieClipのサブクラスになっている
- LOCALにはプロパティ情報がきちんと残されている
- REMOTEはタダのMovieClipクラスになっており、プロパティも一切無い
どうしてこのようなことをになっているのか少し考えてみたのですが、おそらくセキュリティ要件の問題ではないかと言う結論に至りました。というのも見ての通り、ローカルファイルから読み込んだswfをdescribeTypeすると、クラス名としてファイル名とシンボル名がついてしまっていて、これを悪用することができるのではないかと危惧したのではと。
■対応:しかしさらに泥沼
クラス情報が欠落してMovieClipになってしまっているのが問題だとすれば、読み込まれる側のresource.swfのすべてのシンボルを「アクションスクリプトに書き出し」して、きちんとクラスとして定義すれば、問題が解決するのではないかと考えました。
ということで、早速試して見たところ・・・
TypeError: Error #1034: 強制型変換に失敗しました。flash.display::MovieClip@677b34c1・・・bullshit。ジョブズがどうしてあんなにFlashを毛嫌いするのか分かった気がします(絶対違)。
を rightArm に変換できません。
at flash.display::MovieClip/gotoAndPlay()
at com.akisute::Main/onLoadCompleted()
at flash.events::EventDispatcher/dispatchEventFunction()
at flash.events::EventDispatcher/dispatchEvent()
at flash.net::URLLoader/onComplete()
まぁスタックトレースが出るようになってくれたので、なんとかなりそうです。さっきまではスタックトレースすら出さずに勝手にバグを出してくれやがってたので大変困っていました。まったく、これ読んで出直せ、Adobe。
Errors should never pass silently.
■考察:どうしてこうなるのか
さらに考えてみます。一見さっきのスタックトレースはロードに失敗してバグが発生している用に思われますが、実際にエラーを吐いているのはonLoadCompletedの中のgotoAndPlayです。そう、ロードが完了した瞬間にgotoAndPlay("right")を実行しているのですが、そこでエラーが発生しているのです。
ここでちょっと仮説を立ててみます。
- ロードが完了された瞬間のresourceのcurrentFrameは1、つまりleftである。このとき、right側のパーツは一切読み込まれていない(nullである)。
- gotoAndPlay("right")を実行すると、おそらくロードが完了しているMovieClip自身がタイムラインに従って101フレーム目以降の内部構造を補完しようとする。すなわち、right側のパーツ(MovieClipとかShapeとか)をどっからか取ってきてセットし、left側のパーツをnullにセットしようとする。ここまでの動きはデバッガを使って確認できました。
- このとき、先ほどのflash.net.Loaderは完全な情報を持っていたのできちんとMovieClipを作ることができた(left側のパーツをセットできた)が、MovieClip自身にはその情報がないので、right側のパーツをセットしようとしてタダのMovieClipをrightArmクラスの変数にセットしようとし、キャストに失敗して落ちている。
要するに、ローカルファイルからロードし生成されたMovieClipはデータを完全に保有しているのでMovieClip自身でnullフレームを埋めることができるが、リモートサーバーからロードしてきたswfから生成されたMovieClipは生成時にLoaderクラスによってデータを欠落させられているので、自力でnullフレームを埋めることができないのではないかと考えたのです。
■解決策:外部ロードするswfは、絶対に空のフレームを作るな
そこで以下のような対応をしてみました。
- leftラベルの箇所にもright側のパーツを配置する。ただし見えては困るので、透明にして配置する。
- 同様に、rightラベルの箇所にもleft側のパーツを配置する。
- こうすることで、最初からすべてのフレームのデータがLoaderクラスによって読み込まれ、 nullフレームがないのでタイムラインがどのように動いても一度ロードされたデータが欠落することがない。従って問題なく動作する。
■というのを
@moriyoshiさんから教えて貰いました。ありがとうございます!
・・・というか、なんでFlash使いでもないのにこんな詳しいんですか><