iOS 向けのライブラリやフレームワークは、よく static library (.aファイル) の形式で配布されています。これは iOS がユーザーが作成した dynamic library (.dylibファイル) や framework バンドルをサポートしていないからなのですが、ときどきこの static library がシミュレーターとデバイス両方で使える形式、いわゆる Universal Binary になっていない場合があります。
たとえばこんな感じですね。
この状態でビルドを行うと、シミュレーター向けビルドを行えばデバイス用のバイナリが、デバイス向けビルドを行えばシミュレーター用のバイナリが、それぞれ対応していないアーキテクチャであると警告を出してしまいます。警告ですからコンパイルは通るのですが、私は几帳面で気になってしまうので、これを解消したいと考えます。
■lipoの出番そこで lipo を使います。 lipo は Xcode に付属されているコマンドラインツールですので、 iOS SDK をインストールしている人でしたら誰でも使えます。詳しい使い方は man を見ていただければわかりますが、普通使うのは以下のパターンだけです:
lipo -create ライブラリ1.a ライブラリ2.a -output 出力するライブラリ.a
たったのこれだけで二つのライブラリを組み合わせて Universal Binary を生成してくれます。さっきの画像の例ですと、
lipo -create libAbesi_dev.a libAbesi_sim.a -output libAbesi.a
これでOKです。
■本当に Universal なの?それでは本当に Universal Build になったのか見てみましょう。 static library の中身を見るには、 nm コマンドを使います。
どうやらうまくいったみたいですね。一つのライブラリファイルの中に、3種類のアーキテクチャに対応したオブジェクトが格納されています。