iOS 11よりDrag and Drop APIがUIKitに追加され、UITextView / UITableView / UICollectionViewに簡単にDrag and Dropを実現するためのdelegateが用意されたり、それ以外のUIViewにもDrag and Dropをハンドリングするための仕組みが用意されました。このDrag and Dropは基本的にはアプリをまたいでデータを受け渡しすることを前提として作られていますが、一応は自分のアプリ内でデータを移動したりコピーしたりするためにも使えるようになっているので、積極的に活用していきたいところです。
ところでこのDrag and Drop、基本的にはアプリ側が対応しない限り自動的には対応してくれないのですが、例外があります。それがUIWebView / WKWebView / SFSafariViewController要するにWebViewのたぐいの皆様です。これらについては最初からDragも可能ですしDropも可能なように作られているようです。便利ですね!
ですがここをご覧になっている皆様の中には、大人の事情によりどうしてもそのような便利な機能をユーザーさんにわざと提供したくないと言うケースがある方もいらっしゃるかと思います。そこでUIWebView / WKWebViewのデフォルトのDrag and Dropを無効化したり、頑張って自分のコードでハンドリングしたりすることができるようにする方法をご紹介します。なおSFSafariViewControllerに対しては手も足も出ないのでご了承ください。
if #available(iOS 11.0, *) { webView.scrollView.subviews.first?.interactions = [] }たったのこれだけです。簡単ですね!
なんのこっちゃなので詳しく説明します。
まずはじめにiOS 11よりUIView.interactionsプロパティが追加になっています。このinteractionsは[UIInteraction]型となっていて、公式のドキュメントによると「ジェスチャベースの挙動をビューに定義する」ことができるらしいです。まさにドラッグ・アンド・ドロップ的なやつですね。
で、Appleによって最初からドラッグ・アンド・ドロップ用のUIInteractionすなわちUIDragInteractionとUIDropInteractionが用意されています。これらのInteractionは内部的にdelegateを持っていて、これらのInteractionがインタラクションを検知したらdelegateにメッセージングを行い、そいつらが実際のドラッグ・アンド・ドロップ処理を行うというような仕組みになっているようです。
調べてみたところUITableViewのような最初からDrag and Drop用のdelegateを追加されているViewについても、このinteractionsに何らかのUIDragInteraction / UIDropInteractionが追加されていて、それが一旦イベントを拾ってから我々が定義したUITableViewDragDelegate / UITableViewDropDelegateに問い合わせを行うという仕組みで動作しているということがわかりました。
ここまで分かれば後は簡単で、UIWebView / WKWebViewも同様にinteractionsで一旦イベントを受け取った後に、内部的に処理を行っていると考えられるのでUIWebViewの中身をどったんばったん探してみたところwebview.scrollView.subviews.firstの中にinteractionsが刺さっているのを発見したと言う次第です。
先程の無効化する例では空配列を渡すことで完全にinteractionsを無効化していますが、ここで自分が作ったカスタムのUIDragInteraction / UIDropInteractionを渡してやればうまい具合に自分でWebViewのDrag and Drop挙動をカスタマイズすることができるかもしれません。また両方を消すのでなくて片方だけを消せばDragによってデータを持ち出すのは禁止するがDropによってデータを持ち込むのは許可するみたいなこともできます。