2014年4月20日日曜日

Android の TextView.setText() が遅い場合の原因と対処法

AndroidでTextViewを使っている時に、setText()に数百行単位のテキストを渡すとメインスレッドが1秒弱完全に固まってしまうという現象に見舞われてしまいました。昔の2.3端末ではともかく、手元の最新鋭機Nexus 5 (Android 4.4)でこんなに遅いのでは話になりません。しっかりと原因を調査し対処法を考えることにしました。

まずググってみると出るわ出るわ同じ問題。やはりみんな同じ場所で躓いているようです。
しかしながらいまいち具体的な原因がググっても見つかりません。そこでtraceviewを取ってみました。


すると原因が一発でわかりました。android.graphics.Paint.getTextRunAdvances()です。
Nexus 5では高速化のためJNI経由でネイティブ実装が呼び出されているようですが、それでもまだ間に合わないぐらい遅いようです。それもそのはず、このメソッドは与えられた文字の幅を計算するメソッドです。すなわち数百行のテキストのサイズを計算するため時間がかかっているようです。iOSで例えるならCore TextのCTGryphを計算するようなもの、UILabelのsizeThatFitsを呼び出すようなもので、非常に時間がかかってしまいます。

そこで対処法として、setText()でテキスト全体をセットし直すのではなく、TextViewが裏で保持しているテキストの一部だけを書き換えたり追記したりすることで一度に計算されるテキストのサイズの量を減らして高速化する事を考えました。iOSの場合はUITextViewにはsetText相当のプロパティしか用意されていないので、そのようなことをするのはdelegateを経由してみたりUIKeyInputプロトコルを自前で用意したりなどと困難がつきまとうのですが、Androidの場合は最初からTextViewの裏で保持しているテキストを自在に書きなおすための仕組みが用意されています。

そのためにはまずTextViewの裏で保持されているテキストを「編集モード」にしなければなりません。XMLでandroid:bufferTypeをeditableに指定するか、またはsetText()の第二引数にTextView.BufferType.EDITABLEを指定すると、テキストが編集モードで保持されるようになります。

そうするとgetEditableText()でTextViewが裏側で保持しているテキストが編集可能な状態で取得できます。あとはこのEditableオブジェクトに対して好きなように加工を行うだけです。単にテキストを追加するだけならTextView.append()を実行しても同じ結果が得られます。

こうすると数百行程度であればそれほど遅くなくテキストの追加ができるようになりました。しかしながら1000行を超えてくるとこれでも速度が足りなくなるので、自前でTextViewをサブクラス化して作っていくか、またはListViewにして一度に表示するテキスト量を減らすのが良いと思います。